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加西の人々

ヨガと畑と共に、心地よく加西で暮らす

彦坂 佳代子さん

満つヨガ/ヨガ講師

2023.03.15 UP

現在は加西市内でヨガ講師として活躍している彦坂佳代子さん。「移住しよう!」と思って来た…というわけではない加西市ですが、子育てをしながら、自分なりの心地よい暮らし方を見つけられたそうです。今回はそんな彦坂さんを取材しました。

 

《思わぬタイミングで加西へ》

ユニテ

彦坂さんのご出身と加西に来られるキッカケなどをお聞かせください。

 

彦坂さん

大阪府の豊中市から来ました。加西に来る直前は妊娠中で、臨月が近くなった時に夫から「転勤だよ」って言われて。まずは夫だけが加西に来たんですけど、私は出産前後の2ヶ月くらいは実家のある大阪の茨木市に移ってて、それから出産後1ヶ月で加西に来ました。

 

ユニテ

加西の印象はどんな感じでしたか?

 

彦坂さん

最初は加西のことを何も知らず、初めて来た時は広々として伸びやかなところだなと思いました。ただ、自分のそのときの状況が、初めての出産を控えてというのがあったので、「何も知らない町で育児ノイローゼとかならないかな」とか、そういう不安は大きかったように思います。

 

でも以前に3~4年ぐらい長野県に住んでいたことがあって、その時もすごく田舎な感じだったんですけど、自分はどっちかっていうと都市部より田舎の方が好きかもっていうのはあったので、場所として加西はいいなと思いました。でもタイミング的にちょっとドキドキしながらの引越しでしたね。

《実際に加西に住んでみて》

 

ユニテ

実際、加西に来られてどうですか?最初は子育ても初めてということで、手探りな部分もあったかと思うんですが。

 

彦坂さん

そうですね、自分自身で「ノイローゼになったらあかん」っていう危機意識も強かったので、キッズ(子育て支援センター)とかも情報をいろいろと調べて、なるべく行って人との繋がりを作っていこうと思っていました。子どもにとっても、両親だけとのふれあいだと世界が狭まるかなと思って。色んな大人とか、自分の友達とかと出会いながら育ってほしかったので、週に2〜3回とかは行くようにしていましたね。

 

そうすると新しい情報が入って来ますし、子どもが成長していくのを一緒に見守ってくれる大人の存在が加西にできたので、それがすごくありがたかったです。ちょっと話せるだけでも、すごく自分の心が保たれたような気もして。同じ世代の子どもと親が集まれる場所とか、支援してくれる場所とか、そういうのはすごく必要なことだと思いました。やっぱり母親は孤立しやすいので、そういう場所がいくつかあると行きやすいなと思います。

 

あと、私は子どもが生まれる前、どちらかというと心身の調子を崩しやすいタイプだったんです。ヨガは元々やっていたんですけど、子どもが男の子で、外で遊ばせられるぐらいの体力が欲しいと思ったので、パワーヨガをDVDを見ながらやったり、スタジオにも行ったりしながら、体力作りと精神的な安定も含めて週に1回はヨガをするようにしていました。

 

そんなお陰と、夫がすごく協力してくれたこともあって、しんどいこともありましたけど、思ったほど子育てで追い詰められることもなく、子どもとは夏も冬も外で大体遊んで、自然が大好きな子に育ってくれました。好奇心旺盛で虫も大好きな子です。

 

加西にはいろんな公園がありますし、あと子育てをして気づいたのは、皆さんがすごく大らかに見守ってくださるなと思って。ベビーカーでお店に行った時とか、「通路が狭いだろうな」と思いましたけど、子どものことをお爺ちゃんやお婆ちゃんが覗き込んできて可愛がってくださるんですよね。フラワーセンターにもよく行きましたけど、そこでも子連れに対する他の人の目線がすごく温かかったりして。

 

都市部だと色んな話を聞くんですよ。肩身が狭いとか、今時は子育てをしてたら子どもを静かにさせなきゃいけないとか。いろいろ気づまりな思いをされてるお母さんもいらっしゃるって聞きますけど、加西で子育てをしてきて、今まで一回もそんなことを感じたことがなくて、すごく温かく見守ってもらえるので、空気的にのびのびと子育てしやすい町だったなと思っています。たまたま加西に来て子育てを始めましたけど、夫とはよく「のびのびと子育てができてよかったよね」って話しています。

 

ユニテ

では、加西の「これはどうにかしたい」という所はありますか?

 

彦坂さん

車がないとなかなか移動できないのと、病気になったときに選択肢が少ないかなっていうのは思います。

 

ユニテ

彦坂さんは自転車で結構移動されてますよね?

 

彦坂さん

そうですねやっぱり車社会なので、自転車道があまり整備されていないというのは気になります。自転車で移動していて、かなり狭いガタガタ道を行ったりすることがあると、車がすごく近くて怖いんですよね。子どもたちも自転車で通ることを思うと、もうちょっと整備されたらいいなと思います。

 

でも自転車でしか行けない、誰もいなくてノビノビできる場所があったりするんですよ。あと春や秋の公園が混んでる時とかも、自転車だったら全然いけるので自転車移動は結構いいですね。

《子育てでお気に入りの場所》

 

ユニテ

お子さんと一緒によく行く所はありましたか?

 

彦坂さん

年パスを買ってフラワーセンターに週3日ぐらいで行ってましたね。誰もいないんですよ、不思議なんですけど。すっごくいい場所なので「ぜひ皆さんフラワーセンターに行って!」って思います(笑)。だって年間2100円だし、すごくお得だと思うんですよ。我が家では庭だと思ってのびのび過ごしています。息子が「ここはこうで」ってお友達が来た時とかにすごく説明してて。勝手に「彦坂プライベートガーデン」と呼んでます(笑)。もう200回は超えて行ってますね。むちゃくちゃ良い所です。

 

春夏秋冬、全ての季節に行きまくって。やっぱりどの季節にも魅力があるんですよね。10月や11月はダリアがすごくいいし、春と秋はバラ園が、冬は椿とかが綺麗だし。あと冬は空気が澄んでるので、寒いですけど池の周りとか散歩するのも好きですね。

 

ユニテ

なんか観光大使になれるかも知れないですね(笑)

 

彦坂さん

フラワーセンター愛は結構強いですよ(笑)。食虫植物などの説明とか教室があるんですけど、息子がもうちょっと大きくなったら、そういう知的な体験をする楽しさもあるんじゃないかなと思ってます。

 

公園だと玉丘史跡公園と丸山総合公園によく行きますね。そんなに混んでなくて、ちょうどいい感じです。どちらも雰囲気が全然違うんですよ。すごくのびやかな玉丘史跡公園と、遊具があったり山あり谷ありな感じでローラー滑り台もある丸山総合公園とで。公園に行っても全然飽きないですね。子どもの成長ごとにできることも変わっていきますし、本当にいいなと思っています。

 

ユニテ

隣接市などの大型公園に比べると、そんなに混んでいませんよね。

 

彦坂さん

はい、加西でも十分に楽しめます。春や秋とかの季節のいい頃は、たまに土日で駐車場がいっぱいの時もありますけど、他の時期はちょうどいいぐらいです。

 

《家族でハマっている家庭菜園》

 

ユニテ

加西に来られて始めたことはありますか?

 

彦坂さん

週末に家族で家庭菜園をしています。畑は借りながら行っているんですけど、私が最初に始めて、夫も一緒に手伝ってくれてるみたいな感じだったのが、1年を過ぎる頃から段々と夫も楽しくなってきて。体力仕事なので夫の方がやっぱり向いてるんですよね。なので、今は夫がはまってメインになってやってくれてます。畑作業の忙しい時期だったら畑に寄ってから仕事に行くとか。土日なら夫が朝食前の2時間ぐらい畑作業をしに行って、収穫してきたものを朝食として食べたりとか、そういう感じです。

 

土日はみんなで2〜3時間とか、畑でがっつりと作業をしてますね。息子も最初はただ遊んでいただけだったんですけど、段々と遊びながら作業を覚えるので戦力になっています。鍬とか、しっかり腰が入っていい振りをしますし、野菜の名前も葉っぱの段階でバッチリわかるっていう。すごいですよね!

 

私は小学校ぐらいの時に、キャベツと白菜の見分けがつかなかったレベルだから(笑)。息子はブロッコリーとかも葉っぱだけでブロッコリーってわかるようになってるので、なかなかそんなの無理だと思うんですけど、それは嬉しいなって。「これは旬だね」とか、そういう言葉を使うので、ちょっと面白いなって思います(笑)。

《野菜を育てて思うこと》

 

彦坂さん

元々、なぜ畑をしようと思ったかというと、いろんな社会問題が気になるようになった頃に、当然のように食の問題も気になって。日本での色々な問題、例えば自給率がすごく低くて40%を切ってるとか、種子の問題だとか、オーガニックがなかなか普及しないとか、添加物のことだとか、いろいろと調べたんですけど、ただちょっとピンとこなくって。

 

私は大阪のベッドタウンに住んでいて、食べ物はスーパーで買うっていう生活だったので、食に関する問題にしても作り手側の苦労とか問題とかが、どうもピンと来なかったんですね。そのときに「私って食べ物のことや野菜のことを何も知らないな」と思って。種がどんな形をしてるのかとか、どうやって育つのかということを、なんで知らないんだろうなって、その時に初めて疑問に思ったんです。

 

まずはそこを知ることから食の問題を考えていこうと思っていた時にレンタル畑を見つけて、さっそく契約して始めたんですけど、もう知らないことばっかり。でもそれが楽しくて、「人参の種ってこんなに小っちゃいの」とか、野菜で種の形が違ったりすることとか、全部が新鮮でした。

 

あと、その時に取り寄せた本の中に「オーガニックの野菜も、無農薬も化学肥料も、そんなに難しいことじゃない。こうやればできるよ」って書かれていて。「大事なのは土が元気であることで、土が元気だと野菜も元気で、そうすれば虫もそんなに寄ってこないよ」とか、もう目からウロコで。それで「これは本当なのか調べたい」と思い、まずは自分でやってみることにしました。

 

土が元気になる方法を実践しながら、土が変化していくのを感じると、文章に書いてあること以外のいろんな情報も得られて、実際に触ったり見たりしながら、すごく豊かな学びをさせてもらったなと思っています。

 

「本を読むように土から学ぼう」と思った時に、すぐに実践できる環境があったというのは大きかったですね。それは大阪では多分できないことで。都市部だと畑を借りるだけでも大変だったり、小さなスペースを借りるのにすごくお金が掛かったりだとか、自由にもなかなかできないと思うんですよね。

 

加西だったら本当にのびのびとさせてもらえて、今ではレンタル畑に加えて、地元の方のご好意で休耕田をお借りして、そこでも畑をさせてもらってて、いつの間にかそんなに広がりました。「土から学ぶ」を実践できるのって、すごくこの土地ならではだと思います。

 

ユニテ

もう家で食べる分の野菜はまかなえるくらいですか?

 

彦坂さん

そこまでは、なかなか。でも季節によっては畑から持ってきた野菜をベースに献立を考えて、足りないものはスーパーで買ってきてという感じです。朝に息子を送り出して、畑に行ってその日の収穫を見て、「これで何が作れるかな」とか、「今日と明日はこれで」って考えるのがすごく嬉しくて。

 

家族で食べる時も、野菜のこととか食べ物のことで会話が十分に盛り上がるんですよね。それってすごく幸せなことだなと思って。すごくシンプルなことなんですけど、自分の畑から野菜を持ってきて食べるっていう。そのシンプルさの裏側にある豊かさとか、みんなで一緒にそれを作ってきたこととか、自然と太陽とか、土とかの恵みを有り難いなっていうのが実感できますしね。

 

「夏にすごい勢いで生えてきた」とか、「こんな小っちゃいのから、こんな巨大なものができるんだ」っていう驚きがあって。そんなのも含めて不思議とか神秘さとか色んなことが重なって、食べる時のありがたみが増してさらに美味しく感じる気がするし、そういうことがすごく幸せだなと思います。

 

田舎暮らしの、そういう素敵な部分に憧れてここに来たわけじゃないんですけど、気付いたらそういう生活になっていて、すごく有り難いなと思いますね。

 

《ベースとなったヨガの考え》

ユニテ

やりたいことができる環境と、それを実践し始めたことで、感性が開花した印象を受けたのですが、いかがですか?

 

 

彦坂さん

そうですね、多分ベースにヨガの考え方があったのが大きいんじゃないですかね。ヨガと出会ったのは10年くらい前で、今ほど深くヨガの哲学を学んでいた訳ではなかったんですけど、少しずつヨガの考え方みたいなのがベースに出来ていたからだと思います。

 

でも発端をたどれば、温暖化の現状を知ったことはすごく大きいです。育児に夢中になって、子どもとの時間も家族との時間もすごく充実してきたタイミングで、たまたま友達がSNSでシェアした投稿に、温暖化のことが書かれていたんですよね。温暖化が進むことで、地球上のほとんどの場所では人が住めなくなるっていう話を聞いて、かなりショックを受けました。

 

自分が愛情を注いで子どもを育てて、大きくなって、いざ「好きなことやって生きていきなさい」って送り出す時に、子どもは深刻な温暖化問題に直面することになるのかと考えたら、「子どもたちが将来に希望を持って生きていけると思える社会を作ることも、大人の責任なんじゃないか」と思い、まずは自分の生活を見直すことから始めることにしました。

 

環境に良いことをしようと思って、服がどうやって作られているかとか、洗剤とか食べ物のこととかを意識して考えていたんですけど、その時に「環境にいいものって、つまり自分の体にも良いものだ」っていうことに気づいて。今思えば当たり前なんですけどね。自分の体に良いものは環境にも良くて、だから自分の体にとって良いものを普通に取り入れていれば、環境も悪くならないんだろうなと思うようになりました。

 

その時に「ありのままを大切にして、シンプルな暮らしや、自然と調和した暮らしをする」というヨガの考え方が繋がった感覚がありましたね。

 

ユニテ

ヨガ講師を目指したのはいつ頃からだったんですか?

 

彦坂さん

子どもが3歳になって入園したくらいのタイミングです。生活を変えてこられたのも、深刻な社会問題を見ながらも何とか心を安定させられたのも、ヨガのお陰かなっていうのがあったんですね。これからを生きていこうとする子どもや人たちに、何を伝え、何ができるかなと思ったときに、大変な時代の支えになる、生きる意義のようなものをヨガに感じていて。もっと自分を深めつつ伝えていけたら、私の答えも見つかるんじゃないかと思って、ヨガのトレーニングをしていきました。そういうきっかけですね。

《これからやってみたいこと》

 

ユニテ

これからやってみたいことはありますか?

 

彦坂さん

”伝えていくこと”をしたいなと思います。アーユルヴェーダとかヨガ哲学とかを生活に繋がるものとして伝えたいですし、あと自分自身もトレーニングを深めていく中で生き方が楽になったこともあったので、そういったことをシェアしていけたらいいなと思います。

 

すごくスピードが重視される時代で、いろんなストレスもあると思うんですけど、そんな時代だからこそ自分に立ち戻って、自分を大事にする時間っていうのは大切なんじゃないかなと思うんですね。

 

そのことを、ヨガのレッスンだったらマットの上でのアーサナとして、もしくは瞑想とか呼吸法とかで伝えていければと思うし、アーユルヴェーダで言えば、食べ物とか健康の整え方とかで伝えられたらなと思います。アーユルヴェーダのハウツーをではなく、気付きの一つとして、いろんな人に伝えていけたらいいなって。

 

インド哲学では自分自身をまず知るための学びっていうのが、ヨガを深めていくために大事だとされてるんですよ。自分を知るための学びっていうのは、いま生きづらさを感じている若い方にもぜひおすすめしたいし、高齢の方にとっても、これまでの人生経験があるからこそ、それと照らし合わせるようにしながら、自分自身や世界への理解を深めていけるのでおすすめです。生きてきた中のどんな経験も無駄にならずに、自分の糧として新しく成長することができるから。そういった、自分の人生をより充実した、豊かなものにするツールとして、ヨガに出会っていただけたら嬉しいなと思いますし、私も伝える側として出来ることをしていきたいです。

《何かを始めようとしている方へのメッセージ》

ユニテ

最後に、何かを始めようとしている方にメッセージをお願いします。

 

彦坂さん

これはヨガの考え方なんですけども、「何か新しいことをする」や、「何かに挑戦する」は、その一歩を踏み出した時点で、もう”成功”なんだと思います。そこで上手くいかず、思ってもいないことが起こったとしても、それは失敗ではなく、「何かをした」時点で”成功”。もし上手くいったら”大成功”。失敗はないんですって。

 

だから、「何かしようと思って何かをした時には、成功か大成功しかありませんよ」って言われるんですね。「そう思ってドンとやってみてください」とお伝えしたいです!

 

ユニテ

ありがとうございます。一歩踏み出してみることで、新しく見えてくる世界がありますよね。私たちもみなさんの背中をドンと押せるように、サポートしていきたいと思います!

 

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