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加西の人々

加西が大好き!地域の繋がりで、絆を深めたい

一矢 慶子さん

絆食堂

2023.03.10 UP

加西に嫁いでこられた一矢慶子さん。嫁いだ当初は地元に帰りたいと思っていたのに、今では「加西が大好き!」と言いまわるくらいの加西好きに。大好きな加西をもっと盛り上げたい!と精力的に活動する一矢さんに、お話をお伺いしました。

 

《加西に来たキッカケと最初の印象》

 

ユニテ

一矢さんが加西に来られたキッカケと、最初の印象をお聞かせください。

 

一矢さん

私は地元が加古川なんですけど、結婚をして加西に来ました。最初は知り合いもいなくて、ずっと泣いていましたね(笑)どうしたら良いかも分からず、「えらい所に来てしまったな」って思っていました。

 

子どもが生まれて、子育て広場に連れて行ったりもしたんですけど、上手く馴染んでくれないのと、私も気を遣うことに疲れてしまって行かなくなり、加古川の友達のところにばかり遊びに行くようになりました。加西の人との繋がりは、上の子どもが保育園に入ってからも全くない感じでしたね。

 

その状況が変わったのが、子どもが5歳くらいの頃で、こども園に行くようになって、お迎えに行ってもまだ園庭で遊んでいたりするので、待っている間にお母さんたちと喋るようになったんですね。「うちの子、こういうところで困ってるねん」みたいな話をしていたら、子育ての相談ができる場所を教えてもらって、そこから少しずつ知り合いが増えていきました。

 

そのあと、下の子がちょうど3歳くらいの時に、近所のママ友が子育て広場に誘ってくれて、そこの子育てサークルに入ることになったんですよ。それまでは子どもを育てることに必死だったんですけど、子育てサークルに入って繋がりが増えたことで、私自身が変わって視野が広がりました。これが加西での人生のターニングポイントだったと思います。

 

 

《目線を変えたら加西のことが好きになった》

一矢さん

その子育て広場では「ママ・マーケット」というフリーマーケットを開催していて、最初は他の人に「出店したら?」って声を掛けていたんですけど、そのうちに自分のものも売るようになって。そうしたら今度は、商業施設で開催する「ベリーマーケット」に声をかけてもらったんですよね。はじめは「傍観者」みたいな感じだったのが、気づけば実行委員に入っていました。

 

ほんとはもっと前から、出店とかをしてみたいという気持ちはあったんですよ。でも結婚した時に「頼むから目立たんといて」と言われていたので、加西ではそういったことをするのは良くないのかなっていうのがあって。子育ても周りの目を気にして、「ちゃんと育てないと」とか「いいお母さんじゃないとあかん」みたいな感じで、自分がやりたいことをやるのはダメなことだと思っていたんです。加西のことを古い考えの残った、しんどい所だなと感じてもいましたし、「もう加古川に帰りたい」ってずっと思っていましたね。

 

それがイベントに関わり出した辺りから「楽しいな」って思えるようになって、人と出会うことで加西のことが好きになっていったんです。

 

加西は星がすごく綺麗なんですよね。空を見上げたときに、加古川では見れなかった星がとても綺麗で。その星を見たときに、本当に「いいところだな」って思って。それから、よくよく自分の目で周りを見てみたら、食べ物は美味しいし、農家さんも一生懸命に野菜を育てておられるし。近所の人たちも、よくよく考えたらすごくいい人たちばかりで。自分が目線を変えたとき、「加西はすごく良いところだな」って思えたんですよ。

 

加西が好きになっていったのは、そこからですね。私もこれから加西で暮らしていくんだったら、「大好きな加西市」と思いながら加西のいいところを広めたいなって考えるようになりました。

 

 

《団体を立ち上げて活動が広がる》

 

ユニテ

ご自身でされている活動について教えてください。

 

一矢さん

自分が主体となっている活動の一つが、2019年から始めた『一期一笑 子育てラボの会』です。はじめは団体を作ろうとは考えていなくて、私が発達障害のある子たちの親の会に参加する中で、お母さん同士の繋がりが出来てきて、定期的にいろんな子育ての工夫であったり、悩みを話したりする機会が出来てきたんですね。

 

ただ、自分たちだけで話をするのは楽しいけれど、もっと困ってる人がいるんじゃないかと思い始めて、「誰でも来れるような場所を作れたらいいな」って思い始めたんです。それで他の市とかで「親の会」などをされている方たちにお話を伺ったら、「ボランティア団体で立ち上げたら、場所も借りられるし、活動できるんじゃないかな」って言われて、団体を立ち上げることになりました。

 

でも団体と言っても、他のみんなは仕事をしていたので、私1人で月に1回、福祉会館の一室を借りて誰かが来るのを待つっていうことを、1年ほどはしていました。誰も来ない時もあれば、フラーっと人がやって来て、悩み事を話して、「来てよかったー、スッキリしたー」って言って帰って行かれるみたいな感じの時もあって。特に何の活動っていうわけでもないことをしていたんですけど、そうしている内にお母さんと話すだけじゃなく、子どもたちや家族も含めて、加西の中で体験したりとか、農家さんと繋がりを持てたら農業体験とか、そんなことが出来たらいいなと思うようになったんですね。

 

それで2年目は北播磨県民局の助成金をいただいて、農家さんと一緒にニンニクの収穫体験とか、色々な活動をするようになりました。ボランティア団体として世の中に出てみて、楽しくなってきた時期です。

 

 

《『絆食堂』で食と地域をつなぐ》

 

一矢さん

次の活動は勢いとノリなんですけど、農家さんと繋がるようになって、野菜を使った料理などで農家さんの野菜を広めたいなという思いが出てきたんです。でも自分でお店をするとかは考えていなくて。場所もないですし。そうしたら、子ども食堂をしたいという方が『COCOKARA』(※市役所が運営するチャレンジショップ)のことを市役所に聞きに行こうと誘ってくれて、流れで「かつめし」のお店をすることになりました。それで始めたのが『元氣ごはん食堂』です。加西市の農家さんの野菜を使ってお惣菜を作り、「かつめしで加西を元気にしたい」という気持ちを持ってチャレンジしました。

 

子ども食堂のことを考え始めたのは、そのあとですね。子育ては親だけが負担するんじゃなくて、地域のみんなで子どもを支えて、その親も支えてあげないといけないなって思っていたんですよ。なので、食べられない子にご飯を食べさせたいというコンセプトではなく、地域の人たちで見守るっていうコンセプトでやりたいと考えました。

 

『元氣ごはん食堂』でご飯に携わることはできていたので、子ども食堂をするならボランティア団体を作ってやりたいなと思って、『絆食堂~みんなのお家~』を立ち上げ、「地域の子ども食堂」という形で始めました。

 

ユニテ

絆食堂を毎月されてみて、いかがですか?

 

一矢さん

そうですね、南部公民館で始めた当初は、どれくらいの人が来てくれるか手探りだったんですけど、知り合いの子に声をかけたら7人くらいが来てくれました。私のスタイルとしては、まず宿題をして、ご飯を食べて、必ず読み聞かせもして。体育館も借りられるので、子どもたちをいっぱい遊ばせたいなっていう感じで始めましたね。来てくれた子は絆食堂のことを家や学校で話してくれるので、徐々にお子さんの数が増えて、今日なんて30人くらいが来てくれていました。

 

嬉しいのがね、友達が来てなくてポツンと一人の子がいた時に、上級生の子たちに「初めて来たから面倒見てあげて~」みたいに言ったら、みんながすごく面倒を見てくれて、宿題を見たり、一緒に遊んだり、ご飯のこととかも教えてくれたんですよ。一人だった子は喜んで、お母さんに「すごく楽しかった」と言ってて。小学校に行ったときもお姉ちゃんたちが声をかけてくれてね。 お母さん同士もお迎えに来たとき喋ったりされていますし、嬉しい連鎖が起こっているなと感じています。

 

地域の方も気にして声をかけて下さったり、農家さんも「野菜を使ってね」と言って下さったりするんですよ。私から「何かちょうだい」と言い回らなくても、みんなが「何かできることない?」とか、地域の人じゃない人でもFacebookの投稿などを見て「何かさせてください」と言って下さるんです。そういう繋がりができて嬉しいし、ありがたいなって思います。

 

 

《ご家族の反応は?》

ユニテ

活動をされている中で、ご家族の反応はいかがですか?

 

一矢さん

呆れ半分、諦め半分ですね(笑)息子は今でも少し人と馴染みにくいところがあるんですけど、子ども食堂やイベントには連れて行くようにしていて。そうしたら自分なりにできることをしたり、苦手な雰囲気の時は端っこの方で踊っていたり、自分の中で調整しながらも嫌がらずに来てくれていますね。主人も毎回参加してくれているので、家族を巻き込んでやっている感じです。無理やり感もあるかもしれないですけど(笑)

 

でも感謝しないといけないのは、当たり前のようにホイホイと人助けに出かけてますけど、やっぱり子どもたちには寂しい思いをさせているのかなとも思うので、その都度「お母さんは何でこんなことをしているのか分かる?」って話すようにはしています。娘が学校でね、「お母さんのご飯はすごく美味しいから、子ども食堂をずっとしてね!」って言われるらしいんですよ。娘は私が次から次へと色んなことをするので呆れてもいるんですけど、そういう風に友達から言われると嬉しいみたいです。

 

ユニテ

ご主人もよく一緒におられて、二人三脚って感じですよね。 心強いご家族のご協力もあって、素晴らしいなと思います。

 

《加西に望むこと》

ユニテ

加西について、何か望むことはありますか?

 

一矢さん

加西にずっと生まれ育っている人が、「加西は何もない」みたいなマイナスのことをよく言うじゃないですか。私みたいに他所から入ってきた者にとっては、「野菜がおいしい」とか「星が綺麗!」ってすごく感動することなのに、主人に言っても「え?」って反応をされるんですよ。子供のころから見ている主人にしてみたら、それは当たり前のことなんですよね。

 

なので、加西で生まれ育った人たちにも、加西の良さを知って欲しいなって思います。そうしたら加西のことが好きになって、次は加西をもっと良くしたいってなるんじゃないですかね。私も最初、加西のことを好きになれていなかった頃は、早く出ていくことばかりを考えていましたけど、「いいところだな」と気付いてからはすごく好きになって、「加西のことをみんなも好きになってほしい」という思いが出てきたので。

 

ユニテ

なるほど、確かに加西の人は自虐的に言う傾向はあるかもしれないですね。では、どのような機会があれば、加西の良さに気付けると思われますか?

 

一矢さん

意外と冒険する方が少ないのかなという印象があります。私は地域にどんなお店があるのかとか、すごく興味があるので、コミュニティ紙で見つけたり、評判を聞いたりするとまずは行ってみるんですけど、加西の人は「興味はあるけど、行く勇気がない」みたいな感じなのかなって思います。皆さん、一度行ってしまえば「すごいとこやん!」ってなるんですけどね。

 

今はSNSで情報発信をされている方が多いので、「こんなお店が出来て」とか「こんな人がやっていて」ということも事前に知れて、親近感も持てるじゃないですか。「一矢さんが言ってたから訪ねてみた」と言われることもありますし。やっぱり実際に行った時の感想とか、興味が引かれる前情報があれば、初めての場所でも行きやすくなるんじゃないでしょうか。

 

 

《これからやってみたいこと》

 

ユニテ

これからやってみたいことはありますか?

 

一矢さん

今は色んな人を巻き込んでいけるように「子ども食堂」という形をとっているんですけど、子どもだけじゃなくて、お年寄りの方にも寄り添える活動が出来たらいいですね。

 

私は「地域の力」ってすごく大事だなって思うんですよ。加古川では新興住宅地に住んでいたので、地域の繋がりが薄くなっていたんですが、加西ではまだちゃんと残っていて、誰かが結婚するとなると「お祝いを持っていかないと」という情報がすごく早く回ってくるんですよね。それは良さでもあり、「構われてイヤ」と思うことなのかもしれないですけど、地域の繋がりが深いなら、それをうまく活かして、地域でみんなを支えるようになって行けたらいいなって思うんですよ。

 

微々たる力ではあるんですけど、これからも地域の人たちが繋がっていけるような活動ができたらなって思っています。

 

ユニテ

一矢さんはこれまでもたくさんの方を繋げてこられましたもんね。一矢さんの後押しがあって、行動に移す方も多そうですね!

 

  《何かを始めようとしている方へのメッセージ》

 

ユニテ

最後に、何かを始めようとしている方にメッセージをお願いします。

 

一矢さん

自分のやりたいことは何かを見つけるのは、何かを始めてから方向性が見つかるときもあります。でも、何かを始めるためには自分の中に「自分軸」を持つことが大切だと、色々やってきて思いました。誰のために何をするのか。自分軸がないと、人と比べて落ち込んだり、方向性が違ってきたりして、持続できません。「自分軸」を持って何かを始めてみてください。

 

それと、人との繋がりは大切です。ご縁を大切に、行動してみてください!

 

ユニテ

常に自分に問いかけながら、周りの力も借りながら、行動していくことが大切ですね。ありがとうございました!

 

 

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